『Lavender Quartz 境界秤動』ができるまで - 3Dモデリング編
LM7です。
さて、コンセプトアートから実際に機能するUIがとうとう完成しました。
まだ試してみたいことがありました。

それが3Dモデルのターンテーブル表示です。
X-ray風表示の3Dモデルを、動画ではなくアプリケーション内で動的に回して画面に一味加えるというアイデアがありました。

テスト用のX-rayシェーダーを南が書いてくれたので、試しに入れてみたところ、自分の中ではかなり手応えがありました。
静的な場面でも、静かに回っている3Dモデルがあるだけで間が持つ…そんな気がしてきました。
これは本格的に3Dモデルを用意しなければいけません。
もともとトレーラーを作成時に3Dモデルを使う目処は立てていたので、可能な範囲で共用できるモデルを目指します。
実物の写真を見ながら、必要なディテールをある程度選択して追加していきます。



射出座席はネットオークションに出品されていたおかげで資料写真がたくさんありました。


ミサイルの排気ノズルとかマズルブレーキの形状とかを気にする人が果たしているのでしょうか?

でもこういう景色の時にあるとないとでは大違い…そんな気がするんですよね

X-Ray表示にする関係上内部をいくらかそれっぽく作る必要がありました。
この無人機では直列4気筒っぽいエンジンを中に積んでいます。排気と吸気と燃料系の取り回しが怪しいですが


そこそこそれっぽければ良しとします。
並行して Blender でトレーラー用素材のレンダリングテストも行いました。
まずX-Ray表示風のマテリアルを用意しました。ノイズテクスチャでグレイン感を表現しつつ、フレネルで回り込む面を不透明にしています。



シーンセットアップの一例


一度はやってみたかったモーショングラフィックスのお約束 エクスプロージョンビュー
各パーツにCopyLocationを付けて動きの元となるemptyオブジェクトからのインフルエンスをランダムに変えることで簡単に実現できます。

見えるわけなくてもファイアリングピンは作ります。



作りたくなってしまったのでMANPADSの発射シークエンスも作ります。
これらのアニメーションは描画する要素が多いためトレーラーのみでの使用となりました。
レンダリング済みの動画を演出時に再生することや、モデルにベイクしたアニメーションを部分的に使用することも考えましたが、動作の安定性や演出の一貫性を加味してターンテーブル以外にアニメーショントラックを利用したのは1シーンのみとなっています。


人工衛星のモデルも可能な範囲で現実に則した形状になっています。

LQ境界ではキャラクターの感情を表現するために腕を含めた多くの差分を用意するための前提として、絵柄においてもキャラクターデザインにおいても要素を減らしています。
このキャラクターと対を為し、世界全体の説得力を保持するための小道具として、3Dモデルには概ね一貫して現実に準拠した高いディテールを付与しました。
次回は、引き続き世界全体の説得力を高めるための取り組みの一貫としてのゲーム中のサウンドデザインについてお話します。